一番の誰か
   
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   「ねぇ、裕太はどんな女の子が好き?」
   
   自分の部屋で、ベットを背もたれにしながら座って雑誌を読んでいた裕太。
   裕太の机の椅子に座り、めずらしいほど沈黙して何かを書いていた
   はやぶさが、ふと頭に浮かんだことを唐突に質問する。
   
   女の好みなんて自分の彼女に話す事なんだろうか?
   
   飲んでいたウーロン茶を溢しそうになった。
   「ばっ・・・馬鹿かお前・・・・!溢しそうになったじゃねーかよ」
   「ゴマキと、浜崎あゆみと・・・そーだなぁ、優香?だったら誰が好き?」
   キーと椅子を裕太の方向に向け、選択肢を出して尋ねる。
   
   「・・・・・・・・・いねーよ。」
   ぶっきらぼうに答えた。
   雑誌に目を落としたが、はやぶさは答えるまで引き下がらなさそうだ。
   再度、尋ねてくる。
   「この3人の中で、あえて・・・と言うなら誰にする?」
   
   なんだよ、そんなに聞きたいのか?
   
   「・・・あえて、なら。優香。」
   難しい顔をしながら言葉を吐くと。
   言った瞬間、怒り出す目の前の人物H・K。
   「酷い!私に無いものばっかりじゃん!あの胸とかあの胸とかあの胸とか!」
   「・・・む、胸は別に・・・・」
   その剣幕に引き気味になりながらも、否定した。
   
   「お前が聞きたいっつったんだろ?」
   「愛が無いよね〜、裕太。普通は、
   ”選択肢にはおりません。好み・・・と言うよりも、俺の目には一人しか映りません。
   このやさぐれ者の俺を拾ってくださった、お優しく高貴で可愛らしい
   幸野はやぶさ さまです!”って言うんだよ。」
   
   ”誰がやさぐれだ?誰が。”
   
   「・・・・・本気で言ってないだろうな、それ。」
   胡散臭そうに裕太が尋ねる。
   「本気で言う訳無いじゃん。もしもそうやって言われたら即退場するよ、私は。
   そんな危ない人とは付き合いたくないもん。」
   
   ケロッとあっさり答えられ、裕太は脱力した。
   なんの事はない、いつもの様にからかわれていただけだ。
   はやぶさにとって、裕太は最高の的だ。
   受身が良いので、とてもすっきりする・・・らしい。
   
   「じゃあ、お前はどうなんだよ。」
   コホンと、咳払いをして今度は裕太が尋ねた。
   ・・・これは非常に興味深い事だ。
   「好み?じゃあ、選択肢は?」
   その質問に面白そうに身を乗り出し、裕太の言葉を待った。
   「・・・・・なら、木村拓哉とガクトと、えーとなんていったけ、窪塚・・・」
   言い終わらない内にはやぶさの言葉によって遮られる。
   
   「城島だよ。」
   
   「は?」
   「TOKIOのリーダー城島の、あのリーダースマイルが非常に好きです。」
   てへっ・・・と答えるはやぶさ。
   「選択肢に名前がなかったじゃねぇかよ・・・。」
   「あら、焼いてるの?裕太くん。」
   ワザとらしい声で目の前に立ち、座っている裕太を見下ろす。
   「・・・焼くか!そんな事で。」
   「怒ってるじゃん。」
   「怒ってねーよ。」
   
   「ばか。」
   「ばかぁ?」
   頭に怒りマークの付いた裕太が、立ち上がる。
   「お前!なんでいつも・・・」
   
   「裕太の事好きだよ。」
   
   「へ?」
   思わぬ台詞に裕太の思考が固まる。耳を疑って真っ白になった。
   
   「いつも、一緒にいて楽しい。ありがとう・・・」
   言いながら、背中に手をまわしギュッと抱きつく。
   「大好き。」
   耳元で言われた、くすぐったい言葉。
   言われた本人は、頭から火が出てしまいそうな位真っ赤になる。
   
   ”なんだ、どうしちゃったんだ。いきなり。”
   鼓動が早い。はやぶさにも聞こえてしまうのではないか。
   
   「お、俺・・・俺もお前の事・・・」
   どきまきしながら、はやぶさの背中に手を回す。
   ”何、緊張してるんだ・・・俺。”
   「裕太。」
   優しく名前を呼ばれて、ゾクッとする。
   「・・・幸野・・・俺、お前の事、一番好」
   好きだ・・・と続けば完璧だったものの。そこで、言葉は切られる。
   
   ガチャリ。
   ・・・・・部屋のドアが第三者により開けられたのだ。
   同じ家に住む、兄の周介によって。
   
   「あ。来てたの、はやぶさちゃん。」
   
   「お邪魔してます、不二先輩。」
   「・・・・・?。何で正座してるの?裕太」
   
   「・・・なんでもねぇ。」
   
   不二周介が見たものは、ベットの上で正座しながら真っ赤になっている弟の姿。
   それを不服そうに見つめるはやぶさ。
   なんとなく場の雰囲気を察してクスっと笑うと。
   「裕太じゃ物足りなくなったら、いつでも引き取るからね、はやぶさちゃん。」
   そう言いながら、部屋のドアをパタン、と閉めた。
   「あっ・・・兄貴・・・!」
   「・・・引き取ってもらおうかな、私。」
   
   「好きだ!」
   間髪入れずにはやぶさに向かって言葉をぶつける。
   「好きだ。好きだよ・・・・・くっそ、見んなよ!恥ずかしい」
   最後の好きだ・・・は半分ヤケ。
   
   ・・・気持ちは本当だけど。
   
   その言葉を聞いて、今度ははやぶさが真っ赤になった。
   
   
   END
   
   
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   01’10’15アップ
   


「アトミックフェザー」の赤色をたる様が閉鎖を期にフリーにしていらっしゃたので
頂いて参りました。
裕太〜!!!私は不二周助より裕太が好きです。兄に対するコンプレックスですよ〜!
兄を超えるために努力する姿!涙が出ます!こいつはへたれですよ。
笛の真田一馬並みの!不二(兄)は怖い。なんだか怖い。
最近、知ったんですけど真田と声優が同じですね。